私は、立石一真さんが創業した立石電機、オムロン株式会社出身です。
理念ある企業で営業をしてきた人間です。
利益は必要だと育ってきました。企業として存続するために当然です。
そして、それはオムロンが社会の公器として存在するために空気のように必要であり、世の中に貢献した結果としての大切なものだと教わってきました。
しかし、キーエンスに代表する“利益を目的”とするやり方には、ずっと違和感を持って見てきました。
そのために営業マンがズルをして売りつけ結局現場で使い物にならなかったり、情報に弱いお客様に一般市場価格の数倍の価格で売りつけている姿を目の当たりにしてきたからです。
私が今、営業コンサルとして伝えたいのは、
「理念があってこそ、売上は上げられる」
「普通の営業マンでも、成果は出せる」
という事実です。
キーエンス営業の“すごさ”と“限界”
私は1990年にオムロンに新卒で入社しました。
当時からキーエンスの存在は知っていました。センサを販売していましたが、当時はまだ弱小で、オムロンの足元にも及ばない存在でした。
キーエンスは、オムロンや販売店が訪問しないような小さな会社に足を運び、高額でセンサを販売していました。
しかし、後からオムロンや販売店が行って通常価格を提示するだけで、価格は半額、あるいは3分の1になり、すぐにオムロンに切り替わるという状況でした。まるで鼬ごっこのような販売競争が繰り返されていました。
当時のキーエンスの商品はまだ発展途上で、品質にも問題がありました。不具合が発生すると、営業マンは代替品を持参するだけで、原因や対策についての説明はありませんでした。キーエンスは工場を自社で持たないファブレス企業であり、営業マン自身が、どこでどう作られているかも知らなかったのです。
製造業の顧客は、不具合が出れば徹底的な原因追及と再発防止を求めます。これは、日本の製造業の強みであり、常識でもあります。
センサ一つの不良が発生すれば、ラインが停止し、QCD(品質・コスト・納期)すべてに影響します。
だからこそ、当時のキーエンスのような「売って終わり」の営業は、特に自動車業界では通用しませんでした。私たちも「キーエンスはオムロンが行かない小さな会社に高く売って回っているだけ」と思っていたのです。
キーエンスは顧客を、オムロンは競合を見ていた
1990年代半ば、キーエンスの営業が実績を積み始めていました。
キーエンスは、お客様に何度も足を運び、電話をかけ、ひたすら提案を続けました。
一方でオムロンや販売店も、積極的にお客様を訪問しているつもりではいましたが、キーエンスの圧倒的な行動量には及んでいませんでした。
「オムロンが行かないお客様に、自分たちは売りに行ってあげている」
彼らの言葉には正義感と共に、現実の営業力の差がにじんでいました。
お客様は接触回数の多い営業に親近感を覚える――これはザイオンス効果です。
キーエンスはそれを徹底的に活用していたのです。
キーエンスの営業は利益管理です。利益額、訪問数、電話数、提案件数まですべてKPIで管理され、成果を出せない営業マンは淘汰されていきました。
その分、残った人材には高額な報酬が用意されていました。
成果主義で、強者だけが残る。そんな企業文化です。
私は、キーエンスの働き方を羨ましいと思ったことはありませんが、その“本気さ”には勝てないものを感じていました。
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キーエンスの躍進、オムロンの後追い
オムロンは製品には自信がありました。そしてキーエンスと競合すれば必ず勝つ、と言っていた優秀で闘志のある営業マンも、まだ多くいました。
しかし、徐々に営業力で後手に回ることが多くなっていきました。
光電センサ、ファイバーセンサ、変位センサ、視覚認識装置、タッチパネル、PLC…
分野ごとに、次々とシェアを奪われていったのです。
キーエンスも、じわじわと売上を伸ばし、出荷実績が増すほどに品質も向上しました。
そして商品もよくなっていきました。
オムロンがキーエンスを見ている間に、キーエンスはお客様を見ていました。
顧客の要望に応え、世の中にないオンリーワン商品を次々と出してきたのです。
結果、オムロンは後追いで似た商品を出すという状況に陥りました。
今ではキーエンスは売上1兆円を超え、オムロンの同領域での売上は約5千億円。
さらにキーエンスは、50%超という驚異的な利益率を誇っています。
“万能薬”ではないキーエンス流
私は、キーエンスの営業手法を否定しているわけではありません。営業マンとしては敬意さへ抱きます。
ただ、キーエンス流の営業手法を“万能薬”として他社がそのまま導入することには、大きなリスクを感じています。
現在、「営業力と言えばキーエンス」と言われがちです。確かに彼らの営業手法は、成果に直結する即効性や明確な数値化、仕組みの徹底など、学ぶ点が多くあります。
けれども、それはあくまで「キーエンスだから成立するモデル」であり、他社が同じことを真似しても、同じ結果が出るとは限りません。キーエンスは、組織構造・人材戦略・商品ポートフォリオのすべてが、選ばれた優秀な営業マンの“スタンドプレー”を前提に設計されています。
一般の企業では、そうした「超個人依存型の戦闘スタイル」は継続できません。営業マン全員が、毎日KPIで詰められ、数字を出さなければ即交代――それでは組織が持ちません。むしろ、その仕組みを無理に導入した結果、現場が疲弊し、離職率が上がってしまうケースを私は何度も見てきました。
営業には、企業ごとに「合うやり方」があります。
それは文化や理念の違いではなく、「構造と戦略の違い」なのです。
だから私は、誰もが安心して成果を出せる“組織営業”の仕組みを提案しています。これは、キーエンス方式ではない、別の戦い方です。
実際に私は、このモデルで局地戦でキーエンスに勝つ成果を出してきました。不利に戦ってきた営業が反撃に出て実際に成果を出すには、局地戦で組織戦を仕掛けて勝つ能力を身に着けるしかないのです。
キーエンスモデルが成立する“絶対条件”とは?
多くの企業が見落としている、
採用・評価・報酬制度の前提条件。
これを知らずに真似ると、営業組織は壊れます。
【次に読む(重要)】
キーエンスモデルが成立する“絶対条件”とは?
採用・評価・報酬制度という「前提条件」を知らずに真似ると、
営業組織は高確率で壊れます。

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「普通の営業マンが成果を出す」現実的な解
そもそも、それほどできる営業マンというのは、世の中にめったにいません。
そして今の社員を、キーエンス並みのスーパー営業マンに育てるというのは現実的に非常に困難です。
なぜなら、それは極めて厳しい世界だからです。
今の社員は、そうしたハードな営業を前提に入社してきていないのが実情でしょう。
そして、もしキーエンスと同じように営業させ、成果を出させようとすれば――
また、そうした営業マンを外から雇おうとすれば――
企業は営業マンに年収1,000万円〜2,000万円を支払わなければならなくなります。
これでは、経営として無理がある。
しかも、その営業マンが退職した瞬間に、会社の営業力はゼロになります。
つまり、属人化した“スーパー営業マン依存”は、大きな企業リスクをはらんでいるのです。
普通の営業マンが成果を出す、それを可能にする「組織の営業力」
だからこそ、営業改革の方向性は明確です。
「普通の営業マンでも成果を出せる方法」を構築すること。
その仕組みを組織として支え、チームで営業活動を行うこと。
つまり、
すべての営業マンが、安定して成果を出せる営業チームをつくること。
これこそが、JSMー全員が成果を出す営業組織ーが目指す営業のあり方です。
属人化ではなく、仕組みとマーケティング、ナレッジ共有による組織戦によって勝つ。
この考え方は、現実の営業現場を見てきたからこそ、実感を持って提案できるものです。
“普通の営業マン”が「組織戦で勝つ」営業の本質
私が提供する研修やコンサルティングは、単なる教育プログラムではありません。
これは、「組織で営業に勝つ」ための、戦略と仕組みの再構築です。
私は、実際にこの組織戦を現場で仕掛け、何度もキーエンスに打ち勝ってきました。
それは、キーエンスの営業マンに勝ったという話ではありません。
「お客様が、誰から買いたいと思うか」その本質において、勝利してきたという意味です。
キーエンスは確かに強い営業組織です。ですが、そのモデルはキーエンスという特異な企業だからこそ成立する仕組みでもあります。
圧倒的な商品力、利益率、KPI管理、人材選抜、報酬制度、どれをとっても一般企業には再現できません。
一方で、多くの企業の営業マンは、もっと地道に、誠実に、チームで顧客に向き合っています。
JSMは、そんな企業と営業マンにこそご支援をさせていただきます。
組織戦で勝てる理由
JSMでは、こうした戦い方を可能にします:
- 普通の営業マンでも、マーケティング設計とナレッジ共有で“成果を出すチャンス”を持てる
- 営業を属人化させず、誰が担当しても“信頼の土台”が崩れない体制をつくる
- 新規に採用する際の顧客の組織的意思決定プロセスを理解した提案と徹底的なアプローチ
- 組織の中で営業が育ち、つながり、顧客にとって“安心できるチーム”になっていく
これが、組織として勝てる営業であり、私が現場で実践し、勝ち取ってきた営業のかたちです。
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JSMとは、組織で勝つ戦い方
私はオムロンで31年営業をし、14年マネジメントを経験しました。
その中で、「営業は個人の勝負じゃない。組織で戦えるようにしなければいけない」と痛感しました。
私は、キーエンス型の営業を否定していません。
ただ、それがすべての企業にとっての正解だとは思いません。
自社らしく、地に足をつけて勝つ戦い方がある。それを証明してきました。
そして現在は経営コンサルタントとして人材育成と営業強化のご支援をしています。
私はその方法=JSMの組織戦モデルを、全国の企業に伝えています。
キーエンス出身の営業マンによる営業コンサルタントも多いですが、私は彼らとは一線を画しています。
オムロンの営業マンが、キーエンスの営業マンのようにはできなかったのと同じように、
一般企業の営業マンもキーエンスと同じようには動けないのです。
それには明確な理由があります。
キーエンスのような突出した営業力に対しても、別の戦い方で成果を上げる方法は存在します。
私自身、長年の営業現場の中で、個人の力量に依存せず、組織として成果を出す取り組みを実践してきました。
それは、キーエンスの営業を否定することでも、そのまま真似ることでもありません。
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なぜ、多くの企業がキーエンス流を真似て「営業組織の崩壊」を招いてしまうのか?
『なぜキーエンス型の営業は、誰にでも再現できるものではないのか』
『なぜあなたの会社の営業マンが、キーエンス流を導入した途端に辞めていくのか?』
これからの連載で、組織と人材の視点から理由を明かします。
多くの経営者が「仕組みさえ導入すれば」と、彼らのKPI管理や行動量管理を自社に取り入れようとします。しかし、そこには見落としてはならない「経営上の致命的な落とし穴」が存在します。
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次回は、キーエンス出身のコンサルタントもあまり語りたがらない、キーエンスモデルが成立するための「絶対的な前提条件」について解説します。これを知らずに形だけを真似ることは、自社の優秀な営業マンを失うリスクを孕んでいます。
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「営業マンを一人で戦場に送り出していませんか?」
左:従来の営業……個人の根性と能力に頼る「孤独」な戦い。
右:JSM流の組織戦……会社が「戦略・武器・支援」という盾(シールド)になり、チームで勝つ陣形。
本人の努力不足を責める前に、会社がこの「盾」を持たせているか。それが、キーエンスのような巨人に打ち勝つ唯一の条件です。
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キーエンスは強い。
だが、その強さは“前提条件”の上に成立している。
その前提を知らずに真似れば、組織は壊れる。
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【この連載を順番に読む】



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▶ JSMについて(プロフィール・支援内容)

▶ 私がこの仕事をしている理由

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【毎月5社限定】貴社の営業を「勝てる陣形」に変える無料診断セッション
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。 「キーエンス流は真似できない」という事実に、危機感、あるいは「やっぱりそうか」という安堵を感じられたかもしれません。
しかし、本当に大切なのはその先です。 「では、自社の社員が、今の組織のまま巨人と戦って勝てるのか?」
もし、営業マンを孤独な戦場に送り出し、本人の根性に頼っているのなら、それは経営の責任です。組織には、組織にしかできない「背中の守り方」があります。
現在、この記事をきっかけにご縁をいただいた企業様(製造業)にて、実際に「JSM流・組織営業」への転換を伴走支援中です。
- 属人化した営業から脱却したい
- 「詰め」の会議ではなく「作戦会議」ができるチームにしたい
- 社員を壊さず、会社を強くする『盾』を手に入れたい
そう思われた経営者様は、一度私に貴社の「今の陣形」を見せてください。31年の現場経験を持って、60分で課題の正体を整理します。
※一人ひとりの経営者様と深く向き合うため、毎月5社限定とさせていただいております。 ※強引な売り込みは一切ありません。私自身、不誠実な営業が大嫌いだからです。
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【プロの「営業・マネジメント」を深く学びたい方へ】
現場での「熱量」を、論理的な「メソッド」として体系化した講義を、大前研一氏が学長を務める「aobaBBT(ビジネス・ブレークスルー)」にて公開しています。
「営業組織を構造で強くする」ための具体的な戦略やマネジメント手法を、動画講座としてお届けしています。
サラリーマンとして、あるいは経営者として、さらに一歩踏み込んだ成果を出したい方は、ぜひこちらもチェックしてみてください。
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