【連載1回】下請け体質・系列依存からの脱却、自立型企業へ

3.重要顧客を新規獲得

 

下請け体質、系列依存からの脱却を迫られている企業が増えています。特に製造業の多くの中小企業や、中堅企業であっても系列企業の子会社では、この依存からの脱却が急務となっています。

 

それは下請けの大きなメリットであった、「受注の安定」がもはや崩れ去っているからです。少数の元請け企業、または親会社からの受注の減少、または受注が無くなることがあれば、急にはリカバーできない、経営の大きな危機となります。

 

そのため、特定先からの継続受注に依存してきた企業の多くは、早期に下請け体質、系列依存からの脱却を突きつけられているのです。

 

具体的には、独自に新規顧客を開拓する力をつけ、取引企業を増やす取り組みが求められています。

 

下請け体質、系列依存から脱却が急務となっている

 

下請け企業とは、特定の仕事を、上位の企業から依頼を受けて、一部の業務や作業を請け負う企業のことです。中小企業の場合は、下請けとしての受注が多いとしても、1社または少数起業からの受注に経営を依存している場合は下請け依存体質と言っていいでしょう。

 

系列企業とは、持ち株などで経営的なつながりを持っている関係を指します。傘下にある子会社や関連会社などが、親会社の仕事の一部を行う製造子会社などが一般的です。

 

下請けや系列からの受注には、大きなメリットがあります。それが「受注の安定」です。元請けとの契約によって一定の仕事量が確保されるため、売上の安定化と変動リスクを軽減することができるからです。

 

しかし今や、大きなメリットであった、「受注の安定」が崩壊しています。数年前の米中摩擦から、コロナ禍における不景気によって経営環境が一変したからです。

 

仕事量が減った元請け企業からは、下請け企業への発注量が減少しました。また下請け企業に発注していた仕事を、元請け企業が内製化することによって、受注が数分の一に減少した企業も多くあります。

 

大手の親会社にしても、もはや従来からの系列取引に捕らわれていません。競争激化によるコストダウン圧力が強まっているからです。従来、メーカー本体は生産能力と支配的な影響力の確保のために、系列企業を保有し守ってきました。しかし現在は系列にとらわれず、必要な品質を満たす商品を最も安く入手することが経営の大きな課題となっています。

 

実際に、数年前は、新規顧客の仕事を受注した企業が、大手の元請け企業から、「うち以外の仕事をするって、偉くなったもんだなあ」と嫌味を言われていたのが、近年ではその企業から、「仕事はうちばかりに依存しないでくださいね」と言われている例があります。

 

元請け企業も、下請け企業の仕事量を確保するために仕事を出してはあげたいが、自社の受注が減少しているために、やむなく発注を減らさなければいけないと言ったことも日常的に起こっています。

 

系列企業であっても、親会社から「系列以外の事業を拡大すること」を使命として出向してこられる社長もいらっしゃいます。

 

このように、特定先からの安定した継続受注に依存してきた企業の多くは、脱下請け体質、脱系列依存を、今、切実に突きつけられているのです。

 

リスク

 

もはや元請けや親会社からの安定受注が崩壊したということは、大きな後ろ盾を失ったということも言えます。少数の元請け企業または親会社からの、受注の減少や受注が無くなることは、急にはリカバーできない、経営の大きな危機となります。

 

まずは依存度の高さです。上位の主要な元請け企業の需要変動に左右されるため、受注の急激な変化による売上の減少や、受注が途絶える可能性があります。依存度が高い場合は、リスク分散が不十分となります。

 

もう一つは値下げ圧力です。元請け企業も強いコストダウン圧力にさらされているため、下請け企業にも強い値下げ圧力がかかってきます。そのことで利益率が圧迫され、経営的な困難に直面する場合があります。

 

また下請け企業同士の競争が激しくなり、仕事の取り合いと言うことも起こります。価格競争についていけない場合、事業の停止リスクも生まれます。系列からの受注が急激に減少し業務継続が難しくなる場合もあります。これにより、従業員の解雇や事業の縮小が必要になるかもしれません。

 

その結果、特定先からの安定した継続受注に依存してきた企業の多くは、脱下請け体質、脱系列依存を突きつけられているのです。

 

求められる「独自に新規顧客を開拓する力」

 

企業は当然、現在受注している企業からは、顧客満足度を高め、求められているニーズを満たし、継続して安定的に受注する努力を続けなければいけません。

 

その一方で、この大変危険なリスクである、下請け体質と系列依存の状況から脱する取り組みを、危機感をもって全社で強く推進する必要があります。

 

それは、受注元を増やしてリスク分散を図ることです。また系列からの受注に依存せず、独自に新規顧客を開拓し、幅広い顧客との取引を築くことです。そのことで受注の安定性と事業成長の可能性を高めることが重要となります。

 

求められているのは「独自で新規顧客を開拓する力」をつけることです。

 

現在、私が支援させていただいている製造業の企業様は、5年で売上を3倍にするという目標を掲げて全社で取り組んでおられます。この企業様は、同時に社員の平均年収の大幅なアップも目標として打ち出されています。

 

まずは営業の枠を超えた部門の幹部で、顧客満足と顧客感動を突き詰め、顧客との関係性の基礎を固めています。そして営業部門の強化と、新規顧客拡大のための活動を具体的に行っています。この企業では現在、社内が非常に活性化して顧客に意識が向いています。

 

このように、脱下請け体質・脱系列依存のためには、環境が厳しいからこそ、縮小均衡で考えるのではなく、積極的に打って出ることが必要です。

 

それには「独自に新規顧客を開拓する力」が必要であり、「組織的な売れる力」をつけることです。

 

営業マンを教育しても、それだけでは売上は上がりません。特に法人営業では、営業マンによるスタンドプレーだけで大型の取引が決まることはありません。企業と企業の取引なので、売手も企業としての信頼を勝ち得て、組織としての売る力をつける必要があります。

 

法人営業は、そもそも経営活動そのものであり、組織で行うものです。顧客の真のニーズを追及する姿勢や自社の強みを認識したうえでの、マーケティングベースの営業組織づくりなどが必要になってきます。

 

これらは机上の空論ではなく、私が実際に実行して成果を出してきた実践的な方法があります。前職では部門を持ち、多くの億単位の新規顧客の獲得を実現してきました。注力した事業を売上1.5億円から4億円へと1年で240%成長させたこともあります。

 

この経験と、実践的な方法について、次回以降ご紹介していきます。

 

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